自転車で京都から名古屋へ移動したときのメモ

僕は大学でサイクリング部に所属していまして,2月28日までの5日間,関西を4人ほどで旅行していました.この「合宿」のゴールは京都となっており,最終日にそこに到着して合宿は終了となります.合宿の終了と同時に解散となり,その後の行動は大学のある関東に帰るなり,帰省するなり,京都を観光するなり各自の判断に委ねられるわけです.

さて僕は,合宿終了翌日の3月1日に,次のようにしようと考えました.

  • 名古屋から東京まで新幹線で帰る.
  • 京都から名古屋までは,自転車で行ける限り移動してみる.新幹線の時間が近づいてきたところで輪行する.
  • ただし最低でも亀山へは到達する.
  • 四日市まで行ければ良いかな.

新幹線については20時26分に名古屋を出発する「ひかり」を取っておいたので,これに間に合うようにいろいろと調整することになります.亀山を最低条件とした理由としては,そこまで行かないと近い距離に鉄道がないことが挙げられます.

肝心のルートについては,京都から名古屋まで国道1号東海道)をずっと進んでいくものを考えました.滋賀と三重の県境に「鈴鹿峠」があり,これが最大の難所となるようでした.

本記事では,この日の実際の動きについてメモしておこうと思います.

出発まで

7時20分ごろ,起床しました.そこからゆっくりと準備を進め,8時20分ごろに出発する準備が整ったように思います.

いざ出発しようとしたとき,問題が発生しました.それなりの雨が降っているのです. https://twitter.com/_null17/status/968991792451305472 これはダメだと一旦宿に戻りました.天気予報では0mm/0%だったはずなのですが….とりあえず待つことにしました.

出発〜国道1号

9時すぎ,雨が止みました.名古屋へは150kmほどあるので,体力と時間の無さを鑑みて名古屋到達は不可能,行けて四日市くらいまでだろう,と考えていました.とりあえずゴールを四日市に設定して(頭で思うだけですが)スタートです.

https://twitter.com/_null17/status/969002077102878720

https://twitter.com/_null17/status/969002221483433984

まずは国道1号を目指します.宿は市街地の北西部にありました.そこから国道1号までは国道162号→国道9号と進む必要があり,距離も8kmほどあります.市街地の中を進んでいたため流れは遅かったです.

国道1号合流〜滋賀県

宿を出発して40分弱で,国道1号に合流しました.写真はそのとき走っていた国道9号と国道1号が合流する交差点の青看です.2つの国道は重複していますが,700mほど進んだところで国道9号は端点となるようです*1

少しの間はまっすぐ,ゆっくりと市街地を進んでいきますがそのうちに鴨川を渡り,清水寺に近づきます.この付近の「東山五条」交差点では国道1号がオーバーパスしていますが,自転車は通行止めとなっています.よって側道を進みます.

東山五条交差点では左折レーンがポールで分離されており,うまく直進することができませんでした.止むを得ず歩道に入りましたが,交差点が複雑なのもあって2回横断する必要があり,時間がかかりました.写真は信号待ちの間に五条坂の入口あたりを撮ったものです.

国道1号の本線に戻ります.東山五条交差点から1kmほどは6%〜7%程度の登りになっています.片側2車線の道路でしたが,道幅が狭く交通量があったために横を追い越すトラックが怖かったです.

この日初めての登りでしたがひとまず登り切りました.最高点からは長さ259m の東山トンネルを通ります.依然,片側2車線のトンネルとなっていましたがますます車との距離は狭くなっていました.なお,東山トンネルに入るときに歩行者通行止めの標識を見ましたが,自転車は問題ないようでした.

トンネルをくぐると,すぐに標高を下げていきます.小さな山を超えたようで,山を登っている間に消えていた建物が復活しました.ここは「山科区」という地区のようで,京都駅周辺の市街地とは山を挟んで離れているようです.

周辺の建物は低くなりましたが,またしばらく市街地を進みます.この区間は大きな交差道路がないためでしょうか,先ほどと異なり信号待ちが少なく快適でした.

そのうち,「京都東IC」が現れます.IC入口は左側に分流し,国道1号はそのまま短い高架橋に入ります.高架橋の途中でIC出口からの合流がありますが,合流車線が短いためか,信号制御になっていました.

この合流を過ぎると高架橋は「横木二丁目」交差点に至ります.この交差点の直前で自転車通行止めの予告標識が目に飛び込んできました.標識の規制対象は「国道161号*2BP」ということで,僕には関係がないようでした.それで,この交差点でその国道161号BPと国道1号が分岐するのですが,同じ箇所で国道1号と別の道路が合流しているのです.「X字の交差点」と言えばいいのでしょうか*3.交差点に掲げられていた青看を見ると矢印が赤や緑で着色されており,分かりにくい交差点であることが伺えます.国道1号を進むためには右車線にいる必要があったため,一旦側道に出ました.

本線に戻る前にルートを確認します.ここであることに気づきます.いつの間にか滋賀県に入っていたようです.実は先ほどの高架橋で県境を越していたようです.

https://twitter.com/_null17/status/969021970355539968

滋賀県境〜近江大橋

滋賀県に入ったところで17km程度,出発から1時間20分程度のようです.こんなことを言っていました. https://twitter.com/_null17/status/969022162450268160

ここは大津市らしいです,とりあえず再開します.と,ここまで片側2車線でずっと来ていた国道1号が片側1車線に減少し,道幅が狭くなりました.ここからは2度目の登りの区間です.登りといっても,1度目の登りよりは傾斜はゆるいです.この登りでは京阪京津線が並走していたり民家もあったりで,楽しく登りました.

そんなに時間もかからず最高点に到達します.下っていくと琵琶湖沿いの街に至ります.ここで国道1号からは少し外れますが,「近江大橋」という湖の上を渡る橋があるようだったので,そちらへ迂回してみることにしました.

近江大橋が見えてくると同時に,琵琶湖が目前に迫って来ました.良い景色ですね(語彙力).

https://twitter.com/_null17/status/969030933318844417

上の写真に見えていた橋が近江大橋です.その橋を渡ります.さて,この日は強い西風が吹いており,琵琶湖周辺にいたときの風速はおよそ4m/s,最大瞬間風速は10m/s弱だったようです.この日の進行方向は東で,良い追い風となっていたわけです.橋の上ではかなりの速度が出ました.

近江大橋湖南市甲賀市

近江大橋も渡りきったところで,国道1号へ復帰します.南草津駅の下を通る県道18号から戻りました.ここから鈴鹿峠まで,草津市栗東市湖南市甲賀市と進んでいきます.

国道1号に戻って間も無く,なにやら工事が行われていました.案内を見ると「旧草津川隧道の撤去工事」ということで,前方を見ると写真などで見たことのある光景でした.この草津川隧道というのは草津川の下を国道1号が通るトンネルでしたが,草津川がルート変更されこのトンネルは不要になりました.トンネル自体も狭いものであったため撤去されることになったようです.僕が通ったときはすでにトンネルは無くなっており,工事は大詰めだったようです.

工事の場所を過ぎるとすぐに栗東市に入ります.道沿いに「サイクルベースあさひ栗東草津店」があったので,ここでタイヤチューブを買い足しました.

その後国道1号国道8号が分岐します.鈴鹿峠を超えるルートは国道1号です.この分岐を過ぎると,周りの建物が少なくなり,片側1車線の道路になります.しかし数キロで湖南市に入り,突然上部に立派な高架橋が現れたかと思いきや左折します.「石部大橋」交差点です.

高架橋に近づいていく(写真の奥側へ進む)ため,ひょっとして自転車通行止めか?とも思いましたがそんなことはありませんでした.しばらく側道となっているようです*4

しばらくするとその高架橋は終点を迎え,側道と合流します.その先は暫定2車線の国道1号バイパスとなっているようで,広くて見通しの良い,走りやすい道が続きます.バイパスを8kmほど進むと自転車通行止めの高架橋が現れ,ルートを確認しつつ迂回します.国道1号に戻った途端,甲賀市に突入しました.

今この文章を書いているときに地図を見返していて気づいたのですが,このバイパスには(当たり前ですが)旧道が存在し,先ほどの石部大橋交差点を直進し,湖南市街地を突き抜けていくルートのようです.最近国道指定が外れたようでこのルートには気づかなかったのですが,こちらを選んでもよかったかもしれません.

甲賀市境〜鈴鹿峠

甲賀市に入ると市街地を片側2車線で進んでいくようになります.信号待ちがあまりなく,速度も出て快適でした.そのうちに市街地は途絶えるのですが,片側2車線の区間はずっと続き,すべての交差点が立体交差になります.景色は高速道路のようになりました.

立体交差の区間を走っているときは空の色が悪くなっていたので雨を危惧していました.アップダウンが多かったり近くに建物が見えなかったりで少々焦りを感じていました.

立体交差の区間が終わると片側1車線の道路になり,狭く田舎道といった感じになります.周りの建物が復活して来て,少しだけ安心感を覚えました.

そのうちに,「道の駅あいの土山」に到着します.この道の駅は鈴鹿峠前の最後の道の駅で,麓と言っていいでしょう.

https://twitter.com/_null17/status/969068317897035776

走行中には気づきませんでしたがこのときには風さらに強くなっていたみたいで,自転車を立てかけておいても勝手に動くようになっていました.そして止まっていると風で寒さを感じました.

https://twitter.com/_null17/status/969073070517334016

そしてお腹が減りました.近くにコンビニを探したところ道の駅の直前にあったセブンイレブンが最後のコンビニだったようです.少しだけ戻りましたが,向かい風をもろに受けました.

セブンイレブンに食事用のスペースがあったので簡単に昼食を済ませました.このとき,ガバガバ計算で四日市への到達は厳しそうと悟っていました.このときの時刻は14時で,四日市への到着タイムリミットは一応18時に設定していました.そして四日市までの距離は45kmです.

https://twitter.com/_null17/status/969075198392647680

https://twitter.com/_null17/status/969075388193300481

とりあえず亀山までは行けるだろう,と自転車を鈴鹿峠へ走らせ始めました.道の駅を過ぎるとなんと片側2車線の道路になります.そんな道をゆっくりと登って行きます.車通りはまばらでした.

登ると言っても,3%〜4%程度の傾斜だったので,あっさりと峠に到達してしまいました.

https://twitter.com/_null17/status/969082089164419073

道の駅から20分ほどでした.ツイートの画像の右側に道がありますが,そちらを行くとなにかがあったようです(なにか).しかし,天気が相当怪しかったので足早に写真を撮って(ツイートして)さっさと去ってしまいました.

鈴鹿峠四日市駅

写真にもあったとおり,鈴鹿峠には短い「鈴鹿トンネル」があります.下り勾配のトンネルで,2車線分は確保されていますが狭いです.先ほど車通りがまばらだったと述べましたが,走行中はしばしばトラックが普通に横を通っていきます.鈴鹿トンネルを通過中にもトラックがやってきて,恐怖を覚えました.

さて,トンネルを抜けると三重県です!鈴鹿峠三重県側は,依然片側2車線ですが上下線でまったく別の道路となっています.滋賀県行きの道路よりも三重県行きの道路の方が古くてカーブがきつく,制限速度についても滋賀県行きが50km/hなのに対して三重県行きは40km/hとなっているようです.また,鈴鹿峠滋賀県側よりも三重県側の方が傾斜が急のようです.そんな道を下っていきます.

上下線で道路が分離されているために一方通行となっている面白い道路です.途中何回か上下線を結ぶ連絡路があり,写真のような案内を見かけます.

峠道を気持ちよく下っていくとすぐに一方通行の区間は終了し,片側1車線の普通の道路に戻ります.道が狭くなってからも快走だったのですが時折横風に煽られました.しばらくすると旧関町や亀山市の市街地に近づき,建物や交通量が復活します.

そして「亀山IC」を過ぎます.亀山ICは「名阪国道」・「伊勢自動車道」・「東名阪自動車道」・「新名神自動車道」,および国道1号を繋げており,重要なインターチェンジであることが伺えます.ICの周辺の道路は複雑な構造となっており,巨大な(高速道路のジャンクションにあるような大きさの)青看も立っていて面白いです.

このICの先は「亀山バイパス」となります.自転車は通行止めではありません,が,重要なインターチェンジへのバイパスであることもあり,交通量が一気に多くなります.下調べをしていなかったのもあって僕は本線を走行し続けましたが,結構な区間側道があるようです.

さて本線を走行した僕ですが,バイパスが全体的に下りだったのと依然として追い風があったのとで正直かなり気持ちよく走行することができました.トラックが怖いですが.

亀山バイパスを過ぎたあとも,鈴鹿市四日市市で同じような道が続きます.鈴鹿市に入ってすぐのころでしょうか.信号待ちをしていると僕の後ろに軽トラが止まりました.すると僕のところまで進んできて,窓が開きました.中にいたのはおじちゃんとおばちゃんでした.

  • 「高校生?」
  • 『大学生です.』
  • 「どこから来たの?」
  • 『今日は京都から来ました.』
  • 「どこまで行くの?」
  • 四日市まで行こうと思います.』
  • 「そうか〜,気をつけてね」

こんな会話でしたが,良い気分になりました.自転車を進めます.

結局,最低目標の亀山はいつの間にか通過し,四日市市に到達しました.四日市市に入ってしばらくすると,国道1号は左に分岐してバイパスから外れます.

街中の道をゆっくり走っていると,四日市駅に到達しました.

https://twitter.com/_null17/status/969108664094220289

到着したのは16時10分過ぎです.

四日市駅〜愛知県境

https://twitter.com/_null17/status/969109115510317056

イムリミットまでは2時間弱を残していました.鈴鹿峠の前で予想していたよりも相当早く着いてしまいました.そこで,できるだけ名古屋市の方へ近づいてみることにしました.名古屋市までは残り40kmほどだったでしょうか.

四日市市からは時間短縮の意味を込めて,国道23号を進んで行くことにしました.四日市市から名古屋市までの道は大きく2つあります.1つは国道1号.もう1つが国道23号です.国道1号は内陸側,街中を進んで行くルートで道が狭いです.国道23号は海側を進んで行くルートで道が広く,国道1号のバイパスのような道路となっています*5

国道23号に入ったあとも先ほどのバイパスを走っているときと同様,トラックは多いけども快走,という状態でした.それ以外特筆すべき点がありません.

しばらくすると1kmくらいはありそうな長い橋を2回渡ります.それぞれ揖斐川木曽川の河口付近を渡っていたわけですが,本当に長かったです(語彙力).2つの橋の間は「長島」という島のようで,あの「ナガシマスパーランド」があります.

長島を過ぎてしばらくするとなんと愛知県に突入しました.

https://twitter.com/_null17/status/969124477790388225

愛知県境〜名古屋駅

愛知県に突入した時点でかなり興奮しています.この時点で名古屋駅に到達することを目標にしました.

しかし,Googleマップを開くとある問題に気づきました.名古屋駅が思ったよりも内陸にあるのです.国道23号はおろか,国道1号よりも内陸にあって,相当な距離が離れているのです.国道1号と国道23号の間もかなり開いています.とりあえず,今いる国道23号から国道1号へ向かうことにしました.愛知県境以降,国道1号へ続く道路には近い順に県道66号と国道302号がありました.初めに,県道66号に入ってみることにしました.

県道66号との交差点に近づくと,左右を横切る高架橋が見えて来ます.そして青看には「西尾張中央道」と書いてあります.これを見た瞬間条件反射で自転車が通れなさそうな気がしてしまった*6ので,結局県道66号はスルーしてしまいました.

このあたりから辺りが暗くなって来て,空の色も一層悪く,というか雨が当たるようになって来ました(といってもかなり弱い雨でしたが).

そして,国道302号との交差点がやってきます.はたまた大きな交差点です.青看を見ると「環状2号」!また強そうな道路名ですが,この道路もスルーしてしまっては面倒なことになりそうだったので,意を決して左折して見ることにしました.

左折した瞬間から,強い向かい風が雨と混じって襲って来ました.この日ずっと追い風に乗っていたためでしょうか,こんなに走りにくくなるとは思いませんでした.それで肝心の道路状況ですが,まず自転車の通行は(規制的には)余裕でした.しかし,工事の真っ最中のようで狭い対面通行の区間が続き,渋滞が起きていました.流れは大変悪くなりました.国道302号を通っていくと国道1号までは5kmほどあったようで,流れが悪い中進んで行くのは辛かったです.

国道1号との交差点にたどり着きました.しかしここから名古屋駅まではまだ9kmほどあります.もう暗い中で道がわけわからなくなったのでナビを頼りにすることにしました.

しばらくナビを頼りにしていると関西本線の線路沿いを進むようになり,ゴールが近いんだと,だんだん楽しみになって来ました.

そして一気に都会っぽくなってきて…

到着です!

https://twitter.com/_null17/status/969152082891722752

https://twitter.com/_null17/status/969153635450961920

とても興奮していました.

輪行作業をして,

https://twitter.com/_null17/status/969163634529075200

米原→東京」の切符を「名古屋→東京」に変更して,*7

https://twitter.com/_null17/status/969172586184638464

新幹線に乗車してぬくぬくと帰りました.

https://twitter.com/_null17/status/969198059077894145

お疲れ様でした(?).

ルート

およそ150km,+1000mの行程だったようです.

感想

追い風に感謝🙏

*1:国道9号 - Wikipedia

*2:琵琶湖西岸を通る国道.国道161号 - Wikipedia

*3:ストリートビューを参照.

*4:写真上部の高架橋自体は自転車通行止めです.

*5:国道23号 - Wikipedia

*6:普通に通れます.

*7:合宿前に学割証を発行し忘れるミスをやらかしました.しかし,3ヶ月前に発行して未使用だった学割証が残っていました.その学割証の期限はこの3日前だったのですが,その期限の日に適当な区間米原→東京)で買っておいて,それを乗車変更することにより期限後でも区間を好きに決めて乗車することができました.